言語獲得装置(LAD)
心理学における「言語獲得装置(LAD)」とは?
言語獲得装置(LAD)は、アメリカの心理学者ノーム・チョムスキー(1928- )によって提唱された理論です。LADは、人間が生まれつき持っている言語を学習する能力を指します。チョムスキーは、人間は複雑な文法規則を持った言語を短期間で習得できることから、人間には言語を学習するための特別な能力が備わっていると考えました。
LADの主な特徴は以下の通りです。
普遍文法: LADは、全ての人間に共通する普遍的な文法規則を持っていると仮定されます。この普遍文法規則は、子どもが母国語を学習する際に基盤となります。
生成文法: LADは、子どもが無限の文を生成できる能力を持っていると仮定されます。子どもは、有限の文例に触れるだけで、それらの文例に基づいて新しい文を生成できるようになると考えられています。
学習の制約: LADは、子どもが学習できる言語には制約があると仮定されます。子どもは、普遍文法規則に合致しない言語や、論理的に矛盾する言語を学習することはできないと考えられています。
LADは、言語の獲得について説明する有力な理論ですが、批判も多くあります。批判の主な内容は以下の通りです。
普遍文法の存在: 普遍文法規則の存在を証明する証拠は十分ではないという批判があります。
学習の制約: 子どもが学習できる言語には制約があるという主張は、経験による影響を軽視しているという批判があります。
生物学的根拠: LADの存在を支持する生物学的な根拠は十分ではないという批判があります。
LADは、完全な理論ではないものの、言語の獲得について重要な示唆を与えてくれる理論です。今後の研究によって、LADの詳細が解明されることが期待されます。
LADについて、より詳しく知りたい方は、以下の参考URLを参照してください。
参考URL
言語習得装置(LAD)と言語習得支援システム(LASS)の違い: https://cp-info.net/lad-and-lass/
言語習得装置(LAD)とは? 意味、役割、批判、チョムスキーの生成文法を解説:
LADは、人間の言語能力を理解する上で重要な概念です。この概念を理解することで、子どもの言語発達を支援したり、言語の進化についてより深く理解することができます。